【ユーリ!!!on IES:夢小説】銀盤上のアリア第2話(男主/愛され/勝生勇利寄り/原作沿い/勝生勇利弟設定)
今回は【ユーリ!!!on IES:夢小説】銀盤上のアリア第2話(男主/愛され/勝生勇利寄り/原作沿い/勝生勇利弟設定)です。名前の設定は↓↓でお願いします。(銀盤上アリア1話を読み忘れた方はコチラ☆)
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(今作は名前のみです。)
【ユーリ!!!on IES:夢小説】
銀盤上のアリア第2話
(男主/愛され/勝生勇利寄り/原作沿い)
以下:【ユーリ!!!on IES:夢小説】銀盤上のアリア第2話本編です。
パリの音楽学校に通い始めたのは16歳の時。そこの学校は22歳以下なら何歳でも通えると言うからそこに決めた。1人で海外で暮らすのは不安だったけど住めば都でとても楽しかった。周りの人も幸いにも良い人ばかりだったし、美味しいもはいっぱいあるし、どこを見ても絵になる街並みだし。学校は単位を落とす事もなく、しかも首席で卒業。自分でも良くやったなと褒めてやりたいほどだ。
「今日の営業は終了ですよー。」
「お久しぶりです。優子さん。」
「お久しぶりです。」
「勇利くん?それに名前くん!」
アイスキャッスルはせつ。
兄がスケートを練習するのに通っていたスケート場。優子さんは兄の2つ歳上で兄のリンクメイトだ。優子さんは兄が滑りにきた事を察してくれて滑る事を許可してくれた。
兄が準備をしている間、僕もケースからヴァイオリンを出し準備をする。
「名前くん、パリはどうだった?楽しかった?」
兄はリンクへ上がり、僕は少し間を空けて優子さんの隣へ。
リンクへ上がった兄は普段している眼鏡を外し優子さんの掌へ眼鏡を預けた。
「あの、ゆうちゃんに見てほしくて、試合が終わってからずっと練習してたんだ。見てて。」
少し照れ臭そうに告げるとリンクの中央へと滑って行く。僕もヴァイオリンを肩へ置きヴァイオリンを構える。兄が静かに目を閉じたのが合図で曲を奏で出す。
「これって…。」
スケート場へ行く途中、兄から弾いてほしい曲があると耳にイヤホンを突っ込まれた。流れて来た曲はヴィクトルがフリースケーティングで滑っている曲だった。
兄は試合が終わってからずっと振りの練習をしてきたようで、僕は楽譜もなくさっき聴いた曲を頭の中で必死に思い出しながら弾いていく。音源があるなら僕が弾く必要はないのに、兄の頼みとなると断れなかった。
「クソかっこよかー!ヴィクトルの完コピやばいよ!てっきり落ち込んでるのかと思ってた。」
バンバンとリンクの縁を叩き興奮している優子さん。それにまた照れ臭そうに兄は答える。
「うん、でも落ち込んでるのにも飽きちゃってさ。ずっと考えてたんだ。スケートを好きな気持ち取り戻したくて。ゆうちゃんとヴィクトルの真似して滑ってた頃を思い出せるかなって。ゆうちゃん、僕ずっと…」
弾いていないと指が鈍ってしまうから基礎だけでもと毎日動かしてはいたけど、こんない弾いたのは久しぶりで指が疲れた。ケースにしまいなが黙って兄と優子さんの会話を聞いていたけどなんかちょっと、なんと言うからこれは告白しそうな雰囲気では…!
僕は動きを止め耳を傾ける。勇利がんば…!!
「ゆうちゃんの事っ」
「じー」
「空栩流(あくせる)、流譜(るっつ)、流麗(るーぷ)!随分会ってないから大きくなったでしょー」
「う、うん…」
そうだ。優子さん結婚してて子供もいたんだった…。勇利ドンマイ…。
優子さんの子供は女の子3人の3つ子だ。3人次々と兄にグサグサと太ったとか彼女いないとか言葉のナイフを刺していく。見ていて兄が可哀想…。
「名前はコンクール落ちたってホント?」
「今休養してるって!」
「彼女も出来ないって!」
「な、何で僕の事まで!!」
「3人ともお前達のファンなんだぜ。おかえり。」
「西郡!」
「「「パパー!」」」」
西郡豪さん。優子さんの旦那さんで兄のリンクメイト。西郡夫妻はここのスケート場で働いている。
「練習するならいつでも来いよな。俺ら西郡ファミリーはずっとお前達を応援するぜ。」
応援する。
今までプレッシャーになっていた言葉が好きな人達に言って貰えると凄く嬉しい言葉に変わる。スケート場を後にして公園へ行く。植えられている桜が綺麗に咲いていて、僕は持っている携帯で写真を撮った。兄はベンチの上で片足でトントンとジャンプをしている。
「勇利、応援してるって。」
「うん。名前も応援してるって。あっ、今日はありがと。」
「いいえ、兄の頼みですから。」
「名前、コンクール落ちたって…。」
コンクール。スケートで言えば大会みたいなのがある。
学校を卒業しプロの音楽家として活動しようと思った年のコンクール、優勝候補になっていた僕は皆んなの期待を大いに裏切り本選にさえ行けなかった。
「そんな日もあるよね!…僕このまま、ここに残ってさ、温泉手伝おうかな。マジで…。」
自分が情けなくて、皆んなの思いにも答えられなくて、それが悔しくて。学校に行くのにだって、留学するのだって、ヴァイオリンを続けるのだって莫大なお金が掛かってる。父さんと母さんに迷惑だって掛けてる。今までのが全部無駄になった。そんな気分だ。
「辞めないでよ!俺さっきいつもより上手く滑れた気がしたんだ。多分名前のヴァイオリンだったから…。だから、その…俺も頑張ってみるから。名前も頑張って続けてみようよ。」
兄の優しさに思わず涙が溢れて来た。無理して明るく振舞って、何でもない様にやり過ごしていたのに、心の中でダムが壊れた様に我慢していた物、苦しかった物が次々と押し流されて行く。兄は何も言わず僕を抱き締め、泣き止むまで背中を撫でてくれた。
お互いをお互いで励まし合っていた時、ネット上ではちょっとした騒ぎが起こっていた。それはとある映像で、僕の凄く身近で、良く知っている人物で…。その動画と同時に挙げられた動画には僕自身が映っていて。勝生勇利の滑ってみたに、勝生名前の弾いてみた。物凄い勢いで再生数が伸びて行く。動画が挙げられた時から鳴り止まない携帯の対応で僕はクタクタだし、兄は驚きのあまり気を失う様に寝てしまい今も起きて来ない。疲れを取るために温泉でも入るか…。
桜が咲いている季節なのに今日は雪が降っている。何か不思議で幻想的。露天風呂に雪ってやっぱり合うな。
「Are you 名前?(キミ、名前?)」
「Yes…(はい…)」
ボーッと降ってくる雪を眺めていたらなぜか英語で話しかけられた。外国のお客さんなんて珍しい。銀色の髪に黄緑の様な、青色の様な瞳。どこの国の人なんだろう。初めて会った人なのに何処かで見た様な気がする。どこかで…。
「I watched the movie and your vaiolin is fantastic!(動画見たよ。キミのヴァイオリン凄いね!)」
どこかで見た様な気がする外国のお客さんもあの動画を見ていた様で…。
「I wanted you to play the violin.(俺もキミにヴァイオリンを弾いてもらいたかったな。)」
何でそんな事を言うのか訳が分からなかったが、徐々にその意味が分かって来た。どこかで見た様な気がしたのも。僕はこの人を知っている。兄の部屋で、テレビで雑誌で。何度も、何回も2人で見て来た。
「ヴィクトル・ニキフォロフ…」
僕が目の前の人物の名前を呟いた時、露天風呂と中の温泉を仕切っているドアが開き、兄が慌てた様子で飛び込んで来た。靴下を脱ぐのも忘れるくらい慌てて来た兄に、ヴィクトルは待ってましたと立ち上がり長くて綺麗な腕を兄へと伸ばした。
「勇利!今日から俺はキミのコーチになる。そしてグランプリファイナルで優勝させるぞ。」
まるで星が飛び出しそうなヴィクトルのウインクと先程の言葉に僕も兄も状況が掴めずにいたが、事の重要さに気付き2人で大声が出てしまった。
兄がいつも僕にヴィクトルの事をこう言っていた。
彼はいつも、僕をビックリさせる天才だった、と。
以上:【ユーリ!!!on IES:夢小説】銀盤上のアリア第2話本編終わり。